『英語の読み方』

 『英語の読み方 ニュース、SNSから小説まで』を読みました。

なんとなくの要約

 いわゆる英語力とはどのようなものなのか、また英語を読める人が英語を読むときにどのように頭を働かして読んでいるのかについて書かれている。筆者は最近のコミュニケーション偏重の英語教育に疑問を呈しており、英語をよめるようになることが、総合的な英語力を上げることにつながると主張している。時事英語でよく出てくる用法から記事の見出しの読み方、またはSNSや漫画におけるカジュアルで砕けた英語を読むコツが書いてある。たとえば、時事英語ではメディアの中立性を保つために連鎖関係代名詞が多用されたり、分詞構文を用いて情報を追加で示しめしたりすることがある。記事の見出しは、短い文章で端的に内容を伝えなければいけないため、略語を使ったり1語で言い換えを行ったり長い名詞句を使ったりする。これらの英語は時にネイティブをも混乱させるため、特に注意が必要である。おすすめの英語勉強法が書いてあったり、Whole Part法と呼ばれる論理の組み立て方を説明していたり、と大学受験生や大学受験が終わった人にもおすすめである。


感想

予想を超える面白さだった。時事英語は受験時代に1日1記事読んでいたが、おそらくしっかり読めていなかっただろう...。ポーの『黒猫』は大学の授業で一度読み、あまり理解できていなかったが、今回の解説で少しもやもやが晴れた。実は解体新書をまだ終わらせていないので早くやりたい。

『英語の発想がよくわかる表現50』

行方昭夫の『英語の発想がよくわかる表現50』を読みました。

 

なんとなくの要約

 

 その名の通り、英語の発想≒英語として自然な表現を学べる本である。和文英訳は和文和訳から!や選定例文50など英語学習の初心者や高校生に有益なことが書いてある。exciteやboreなどの日本人が間違えやすい動詞やof=「の」と瞬間的に解釈してしまうことの問題点なども書いている。実践編として3つ名文があり、解釈のポイントや間違いやすい例なども載せてある。文章と訳文はともに行方先生クオリティ=最高品質であり、ここだけでも読んでよかったと思える。

 

感想

 前半部分はかっ飛ばして読んでたが、後半部分は面白くていつのまにか読み終わってた。Robert Lyndという方の文章が特におもしろかったので、他の作品も読みたい。行方先生の本によくあるように、本作品にも間に小話が挟んでおり、おもしろくもためになるものであった。

『ことばと思考』

今井むつみの『ことばと思考』を読みました。

なんとなくの要約 

 言語ごとに世界の認識の仕方が違うということを前提に、それがどの程度異なるものなのか、本当にことばが認識する枠組みを変化させているのか、また言語に普遍性はないのか、といったことに対して心理学?神経学?的にアプローチしている。例えば、助数詞というカテゴリーで認識の枠組みを決める言語の話者とそうでない言語の話者に認識の違いがあるのかといった実験をしている。また、本当にことばが認識する枠組みを変化させているのか、という問題に対してはことばを習得していない赤ちゃんを対象に実験を行っており、実験結果としては、赤ちゃんの認識はマウスの認識と同じようなものであった。また、ことばを使用できない特別な状態にした大人(具体的には、ヘッドホンから流れてくる物語を復唱して実験を行う)にも同じ実験をしたところ、その結果は上記と同じでマウスの認識に近いものになった。このように、思考には無意識的にことばが介在しており、そのことばが使えない状態になると、思考のレベルが低くなる。これは、ことばが認識する枠組みないしは思考の枠組みをある程度変化させていることを裏付けている。また、言語に普遍性があるのかという問題に対しては、基礎語(複合語でない語彙。日本語の場合「歩く」が基礎語で「ふらつきながら歩く」は複合語。英語の場合 walkもstagger(よろよろ歩く)も基礎語である。)が全く異なるのか、あるいは意味範囲がやや異なるだけなのかということについて言及している。結果としては、ある程度範囲の変化は認められるものの、概ね範囲が重なっているという、言語に普遍性を認めるものであった。


感想

 内容は鈴木孝夫の『ことばと文化』や『日本語と外国語』に近いものだったが、少し認知科学よりのものであり、認知言語学をやりたくなるような本であった。今勉強している生成文法と何か関連させれそうだが、言語獲得後の話なので難しそう。。。